攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 感想文

 いやはや、久々に攻殻を見たわけで、何でかって自分でもわからないんですが、手が(脳が)勝手に動いてしまったんですね。二話目から痺れさせられましたね、ウッ……ていう吐きそうな感覚です、熱帯的な熱暑へのもがきにも似たどうにもならなさ…… 海面を越えて浮上していった知の果てを見出すことができなければ、つまり目的がなければ主人公のテロリストにはなれない、まあ二話目で出てきたおっさんとの関連とか二話目の紫の女については、この感想文では問わないことにしましょう。
 うわあ原則に忠~実に描かれてるんだなあと途中から見做していました。内部では耐えられなくなって僕も脱出(俯瞰)したんだと思いますが、それぐらい生というのには怖ろしさがある、それぐらい人間を持って行く力がある。なのに最終的にあのとき鶴を折りましたよね的な、確認し合わないことによって深く確信するとでもいった情景が、結局生を肯定する路線に彼等を折り込んでいくわけです。それは否定しながら、実は肯定している。現実に対して別な、たとえば非―大衆的な立ち位置をとるということが、実は迎合なのだという、劇中でも好んでやられた逆説に沿った積りでそう言いたいですね。まあ結論が出てしまう、ここで出てしまうと書くのは作者のあるいは観衆の意図に沿うかなと思いますが、結局物事の中にしか、行動、表現の中にしか何もないのだと語りかける声には耳を貸すべきなのか、いや、すでに貸してはいるんですが、それを認めるべきなのかという話です。だから最後なんてじっさいどうでもいいんだよ、テロリストが死のうが、少佐が物思わしげに景色に対峙している最後についても、べつに反対に描いてもいいわけだ、そうだろうと、そう言いたくなりますよ、僕は。
 二話目。現実と妄想がごっちゃになっているのが途中で明らかにされたとき、どういう反応をとったのか思い出してみることは無益ではないでしょう。そこで、なあんだ気狂いだったのかと、うっちゃってしまうのか、たとえば、いや、妄想だと言われてるほうが本体なんだと弁護を試みるのか、とか。まあ妄想でも現実でも同じですが、ただ妄想的なものが現実に通じるのかどうかという問題がある、で、それはたいてい通じない。全身義体化による精神と身体の分離、と言われる現象はそこにあるのではないかな。私が捉えている私と現実に通用する鍵穴を通り抜けた私の姿はまったく違うものだという考えを持ってしまう。ネットにすべてを取り戻したなら、そのずれ(というか全くの差異にも思えるもの)は消失するわけです。しかし個が個であろうとするほど、想像的な私というものを立てようとするほど例の電脳界の流れに乗ってしまうことにもなる…… 個は相対の中にしかないと言いますが、まあ僕がそれを信じているかはわからないですが、そういう定理に、だから、沿って描いてるんだなあと思って見てました。でも定理に回収していくような見方でいいのか、それはだめだと思う。それよりは素子ちゃんかわいい!とか言ってるほうがましじゃないのかという気もする。唇の描き方ですかね。
 聞きかじりの定理集を持ち込んで見ても、仕方ないんじゃないかと。見ながら反対意見を出していく、そういう見方ももちろんアリなんですが、そうじゃないんじゃないかと。作品内部に囚われて動かされることも、実際忘れかけてることですが、重要なことなんじゃない?
 終盤で童貞の重要性について説かれてましたね。そこに出てくるのが三つ目の層ですよ。性行為が人間を現実に繋ぎとめると仮定してみたとき、童貞と反対極の間隙に位置する人間というのがある。これは大多数です。セックスを幾何学的に扱おうとする連中というのがあると思いますが、これは分割されずに間隙に落ちるしかない。だから童貞の神聖さというのは与えられたものとして才能と言えるかもしれない。童貞の塔から、その間隙にむかってどんどん人はダイブしていきます。知らないから飛び込めるわけだけど、下は基本的に泥です。で、混ざり合いながら満足してしまう…… そういう構造を想定してみると、間隙はどこまで行っても、行かなくても、どんなポーズをとっても間隙でしかない。それは難民とかどうとかとは関係がない、人間である以上すべてが平等に無価値なのだと言ってみたくなるだろう。だから童貞しか発症しないというのは、けっこういい比喩ですよね。言い換えればそれは比喩でしかないし、カウンターは要らないわけです、なぜならそこで「私は!」と叫んでしまうことは罠に掛かることだから。自己顕示欲とか、何欲を考えだしてもべつにいいんですが、問題はそこにはないよね。私は自己顕示欲が強いから~云々って話は、べつにしなくていい話でしょう。
 今回もタチコマの犠牲行為が出てきましたね。たしか前回もそうでした。タチコマがひたすら話し続ける回がありましたが、あれは中々愉快だった。結構喋りまくりなアニメで、僕は目を瞑って聞いてました。本を見るより楽だよね、引っ張って繋いでくれるなんて。……というわけで今回はこんな感じかな。

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