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5 results

結果

普通の少年

奔放な一人の少年が
髪まで真っ赤に染め上げて
どうしようもなくつまらないことを
聞こうとして いまはじめて名前を呼ぶ

奔放な一人の少年が
朝日の廊下に 上目遣いで
どうしようもなく不安に震え
おずおずと いまはじめて名前を呼ぶ

もう一人の少年は
たやすく声を理解して なにも聞かずに理解して
即断 その忌まわしき判決は
少年の口唇に薔薇を刺す

もう一人の少年は

葉緑体曰く

つやのない 子供の頃の蒸気機関車
ブリキのように思い込んでいたが ほんとうは
プラスチックの景品のようなものが 言うのだ
最後の賭けであるといった 面持ちで
きみの実家の きみの部屋でしようと思う どうだろうか
北極の氷の溶けるとき 誰かのコーヒーもからと音をたてる
もうきみの部屋などはないのか
いや あるよ
大きな窓を 網戸ごと開け放して
最後の蒼空のような 八月の向日葵の

どこに行ったら正解の女に会えるんだ

どこに行ったら正解の女に会えるんだ
肥大した月が憂鬱そうに佇まう
国道を鉄屑共が抜ける音
どうでもいい街灯の陽
どこに行ったらいい
いや 最悪おまえでもいい
どこに行ったらおまえに会える
なんとかしてくれ
このグズグズ わんわんと反響している
内臓をなんとかしてくれ

ああ 額を押えると 汗
夏なのだ
夏なのだから もういい
たしかにアンニュイは涙ぐんで

空の奥

死と 死と
雨音は死の近づく足音である
死と 死と 死と 死と
割れた銃眼
道のない ゆきどまる道の
左右 背後
地平のない 区切りのない
セピアインクはぶち撒かれていて
歩く 僕は歩く
その独断の跡を雨が降っている

雨と歩調を合わせて踊る仮装大会
けして共有しない雨宿りの文学
蒙昧 すでにインクは流れとなり
かろうじて掲げられた溺死人の白旗を追い越し

無銘であるとは

町のくずれたブロック塀の脇に
腰掛けている少年が殺人者である
六月の風のなかには少年でさえ
六月を見いだす
青く茂ったソメイヨシノのがさがさした
樹皮に寄りかかって あなたが
感じている一片の詩篇的情緒より
人工的な音色だけを
人工的な景色だけを除いた場所に
少年は立っている

時にあなたの空想とすれちがう
殺人者の形式がある
空想がもしたましいの