8月 2012

葉緑体曰く

つやのない 子供の頃の蒸気機関車
ブリキのように思い込んでいたが ほんとうは
プラスチックの景品のようなものが 言うのだ
最後の賭けであるといった 面持ちで
きみの実家の きみの部屋でしようと思う どうだろうか
北極の氷の溶けるとき 誰かのコーヒーもからと音をたてる
もうきみの部屋などはないのか
いや あるよ
大きな窓を 網戸ごと開け放して
最後の蒼空のような 八月の向日葵の

普通の少年

奔放な一人の少年が
髪まで真っ赤に染め上げて
どうしようもなくつまらないことを
聞こうとして いまはじめて名前を呼ぶ

奔放な一人の少年が
朝日の廊下に 上目遣いで
どうしようもなく不安に震え
おずおずと いまはじめて名前を呼ぶ

もう一人の少年は
たやすく声を理解して なにも聞かずに理解して
即断 その忌まわしき判決は
少年の口唇に薔薇を刺す

もう一人の少年は